2019年10月30日

僕たちの失敗

長い長いご無沙汰でした。
ほんとうに失礼千万、穴があったらはいりたい。
いろいろなことを考えて、パン・オ・ヌフをどうすれば良いのか、わたしたちの人生をどうすれば良いのかと、これはちょっぴり大げさですが、しかし人生は抜き差しならない。
もちろんパン屋さんで食べて行くには私たちも年をとったのかもしれません。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ヌフの二階は建築会社コモハウスと云います。私の仕事はこれが本職で、シェフの仕事を手伝うのも本職ですがやはり如何しても二兎を追うもの一兎をも得づ。おかげさまでコモハウスも忙しく、どう頑張ってもヌフに時間が避けないのです。
二人で何度も話し合いました。パン屋は過酷な商売です。ましてや本物のパン作りを目指すとなるととても片手間では出来ない。
シェフの類稀なるセンスで今日のヌフがある。
最近は時間があればヌフの店舗であれこれ作業をしているのですが、ときどき営業していると思われて御出でになるお客様がいらっしゃいます。
つい過日、来られたお客様が、「ほんとうにこちらのパンは美味しいですね。もう食パンを焼くとパアッと小麦の香りが匂い立って、もう弾けるようなパンの美味しさにびっくりしてしまいます。」
ありがたいです。言葉もありません。それなのに、それなのに。
ほんとうに美味しいパンを皆様の食卓にお届けしたい。それは届いたのだろうか?わたしたちの目指すほんとうに美味しいパン。パン・ドゥ・ミ、バゲット、カンパーニュ。全身全霊でパン作りに励むともうクタクタで、これを一週間続けていた日々を振り返るともう奇跡のような気がします。
パン作りは若さでなくては出来ない。今でもわたしたちのパンに自信はあるのです。口はばったい物言いですが、ほんとうに美味しいパンは届けられたと信じたい。しかし。
わたしたちの失敗は、パンは金銭に変えられない、という事実と、パン屋という職業との板挟み、そしてもうひとつには、誰もほんとうに、ほんとうに美味しいパンを求めてはいないという哀しい現実。バルミューダというトースターが100円のパンを金のパンに変えることができるというのなら、私たちは何かを置き去りにしてしまったのかもしれない。
しかし、それでもわたしたちのパンはある。目の前にある。
気がつけば六年間。ほんとうにお世話になりました。ヌフの営業はこれをもって終了いたします。
最後の営業は11月23日の土曜日。この日はヌフらしく、九つのパンをご用意して皆様にお会いできればこんなありがたいことはありません。
それでも私たちは性懲りも無くパンを焼き続けるでしょう。
不定期ですが、焼けた日には旗を立てて皆様をお出迎えしたいと思います。
ヌフのパン・ドゥ・ミとバゲットは永遠にその姿を留めるでしょう。そして時にはカンパーニュ・べべも。

王子さまはたったひとつの薔薇の花を愛してくれたでしょうか。










posted by dady at 21:20| 神奈川 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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