2016年08月27日

お世話になりました

あの手この手の企業戦略。コマーシャルにのって風の吹くまま気の向くまま。
この夏の暑気払いにと買ってみたバルミューダ・ザ・トースター。画期的とはそのコマーシャリズムの展開にも言えるのでしょうが、ただのトースターにこれほどの付加価値を乗せて物を売る。物を作る。たしかに素晴らしい。

さて、わたしたちも御多分に漏れない付和雷同型。あっちを見てはこりゃいいわい。そっちに目が移るとこりゃほいほい。なんど痛い目にあっても懲りない面々。嗚呼。

で、ついにヌフのパン・ド・ミも切らしていよいよそこらのスーパーで買ってきました、ザ・食パン。その名もとある「パン党宣言」。その驚きの価格は税抜き68円。税込み72円!!!うわあっ!?6枚切り。ヌフのパン・ド・ミなら一枚がその値段!ごめんなさい。わたしたちのぼったくり商売。しょっぴかれても文句は言えないわたしたちのアコギな商売?でも、そう、か、し、ら?

DSCN203.jpg

その手触りのふっかふか、こ、これが、あの食パンかっ!この手触り。かなわない。
うん。大手パン・メーカーのたゆまぬ努力はまずその見た目、その肌触り。ここまで出来たて感を追求するのは並大抵の苦労ではないはず。しかし、まずはその追求する方向が間違いではなかろうか?などと余計なことを考えながら今朝の食卓にはその「食パン」が並ぶのです。
じゃん。

DSCN202.jpg

(笑)すでに二口齧ってしまいました。はしたない、とご勘弁を。

DSCN197.jpg

さて、このトースターで焼く食パンは、なんでも薬まみれの食パンでもなんでもアッと驚く焼きたてベーカリーのパンのごとくに焼ける、という独自の温度管理とスティーム機能による驚きのトースターです。
ほんとうでしょうか?もしも、もしも本当なら、わたしたちのパン作りは間違っているのかもしれない。もしも、もしも本当に、わたしたちのパン・ド・ミを凌ぐのならもうわたしたちはパン屋をやらない。
お世話になりました。明日から閉店です。(泣)
これは怖い宣言です。しかし、それでもわたしたちにも覚悟がある。と、今朝はもうたかがパン一枚食べるのに様々な思い出が走馬灯のように流れては消え、ヌフの厨房でなんどシェフと遣り合ったことか、もう離婚だっ、とそんな怒鳴り合いも一度ではなく、それもすべてパンにかけるシェフの努力のなせる技。
ああそれなのに、そんな努力も二万五千円のトースターには敵わない。、、、、。?

DSCN201.jpg

ふふ。ふふふ。フフフフっ!ヌフフ。

なあんだあ!なんなんだあ?まずいじゃないか。焼き色はいいですね。でも、そこまで。
どうしたステーム管理。どうした独自の温度管理。いや、これはこれは。バルミューダさんには申し訳ありませんが、これは誇大宣伝でしょう。こんなパンが美味しいとありがたがる輩が本当にいるんだとしたら、あなた方は間違っている。遠慮なく言わせていただきますが、あなた方は本当のパンを知らない。(いえ、私もほんとうに知っているとはとても申せませんが、、)

ウ〜ん?これは、しかしあえて言えば、わたしたちはこのトースターに失望はしていません。確かにヌフのパン・ド・ミがより美味しく焼けるのです。わたしたちの目指すパン作りをフォローしてくれるのは間違いないのです。バゲットはほんとうに美味しく焼ける。わたしたちのバゲットをほんとうに、たった今、焼きたてのように再現してくれる、という意味では優れものなのです。でも、それはまず、美味しいパンが最初にあって、そこから先の物語。お世辞にも美味しいとは申せない食パンにその先の物語を望むほうが間違いなのです。

「ねえ、このトースター、買って正解だった?」
「わたしは良かったと思う。ちょっぴり幸せになったもの。それに、なんって言っても美しいじゃない」



ほんとうに美味しいパンを皆さまの食卓にお届けしたい。パン・オ・ヌフ。






posted by dady at 08:36| 神奈川 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月21日

弘法は筆をえらばず

巷で評判のとあるトースター。三ヶ月待ちというからこれはこれは。ドンキで買う九十円の食パンがまるでできたてのベーカリーで買うパンのように美味しく焼ける。どんなパンでも美味しく焼ける?ダンボール肉まんだっておいしく、、、、?
ウワア。パン屋さんとしては喜ぶべきか、それとも、散々迷ったのですが、やはりここは買ってみるしかありません。このトースターの佇まいも通りすぎるには惜しいようなあだな姿。
でも、。
でももし本当に美味しかったら、本当に美味しく焼けたら、ふむ、これはこれで素晴らしいこと。ご同慶のいたりと素直に喜べばいい。

DSCN198.jpg

いや、しかし、如何にすぐれた2万5000円の高価なトースターとは言え、トースター次第で90円の食パンが金の食パンに変わるのだとしたらわたしたちの努力は一体なんなのか?と、その時は、肩を落としてすごすごと退散あるのみ。もしも、もしも本当に、90円の巷の食パンが、まるでドーピングまみれのあの「食パン」が、わたしたちの「パン・ド・ミ」に列ぶのなら、わたしたちはもうパン屋さんはやらない、と、此処は悲愴な覚悟を決めていざ試食です。😭

DSCN196.jpg

まずはチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」から。
ジャーン、ジャラジャラジャーン、ジャジャン。ジャジャラジャラジャン、、、じゃじゃじゃ。ジャーン、

おっと、これは白鳥の湖。てへ。

この「ザ・トースター」は完璧な温度管理とスティーム機能が売りで、そういう意味では200度以上の高温とスティームをかけることでパンのふっくらとした食感を再現するのは理にかなったこと。これはもしや?
で、いざ試食です。

DSCN199.jpg

ふむ。いや、この評価は難しい。遠慮なく言わせていただければ、食べた最初の印象は?はあ?
いや、申し訳ないけれど、感動とはほど遠く、しかしげっそりともまた違う。
まず、その佇まいが美しいですね。タイマーの音も静かで、他のトースターとの最大の違いは、パンを焼く、と言う体験をとても大事にしているということ。逆に言うと、巷のトースターが如何にその体験を雑に扱っているかということの裏返し。パンを美味しく焼く、と言う一点に特化したというよりも、パンを美しく焼くことにこだわった、といったほうが正解か?

ふっくらした食感、と言うよりも、カリッとしたパンの歯ざわりが良いですね。これはたしかに普通のトースターでは再現できないパンの醍醐味です。このカリッとした食感はスティームのなせる技。なんとはなし、バゲットを焼くといいだろうな、と思わせます。しかし、ヌフのパン・ド・ミを美味しく食べるという意味では、残念ながらそこいらのトースターとそれほどの差はありません。口はばったい物言いですがヌフのパンはトースターを寄せ付けない、とも言えそうです。(おいおい、言ってくれるじゃないか。)
しかし、慌てて付け足せば、たしかに美味しく焼けることは間違いありません。焼き色もいいですね。

さて、で、二日目。今日は今までのトースターと比べて食べて見ることにしました。

IMG_200.jpg

「タイガートースター」は強火で四分。これはいつもの経験から割り出した時間です。一方の「ザ・トースター」は今日はマニュアルよりも一分長く取りました。五分です。
これは難しい比較ですが、確かにパンの皮と中身にメリハリがあり、周囲はカリッと、中はチョッピリふっくらと。こういう違いはタイガーにはありません。しかし、パンの味は変わらない。軍配をあげればザ・トースターのポイント勝ちと言ってもいいでしょう。しかし、その差は微差。
ウワア、これに二万五千円か!というこのあざとい商法を、だからと言ってなじるという気にはならないのです。これは多分に作り手の姿勢にあると思うのですが、彼らは真面目に作り込んでいる。その姿勢が嬉しいじゃあありませんか。

さて三日目。今夜はバゲットに挑戦です。これは期待が高まります。バゲットはきっと美味しいんじゃなかろうか?バゲットを美味しく焼く要素は揃っているはず。そう思わせるものが確かにありました。
バゲットはバゲット・モードで五分。スティームをかけ、心なしか震える手。オリーブオイルを用意して、待てよ、ここはバターでいってみるか。

はあ?エッ?う〜ン?

これはなんと言うべきか?カリッと焼けてないのは単なる時間設定の問題?もう少し長めに焼けば焦げ目もついてカリッと焼けるの?なんて思いながらまずはひと口。ああ、旨い。しかし、これはバゲットが旨いから旨いという単純な結論なのです。少しく心に隙間風が。嗚呼、涙の連絡船。おっと、いかん。
で、翌日。気持ちも新たに再挑戦はバゲット生地の「シャンピニオン」と「リュスティック〜田舎風の」。
シェフはやっぱり考えました。まず、思いきってバゲット・モードで倍の八分。普通ならこれでは焦げて悲惨な結果になるところがこのトースターではそうはならない。八分焼いて、それでもカリッと焼けないので、さらにスティーム無しのふつうのモードで高温でさらに二分。
なんとこれが正解で皮はカリッカリ、中身はムッチリ。そうムッチリという表現がぴったりの焼き上がり。さらに言えば、冷めても固くならないのです。
ああ、これは、もしかすると優れものかも、、、???

総合評価は、ヌフのバゲットを出来立てのように焼き上げることができるという点では高評価です。ただし、工夫がいります。マニュアルどおりにただ焼いてもダメです。マニュアル通りだとげっそりですが、シェフのように工夫して、自分好みのパンを焼く、という挑戦を厭わない方にはこんな素晴らしい体験はないでしょう。

ウエブ・サイトでこの会社のトースター開発のきっかけが語られています。どしゃ降りの雨の日のバーベキュー・パーティーでたまたま焼いたパンの美味しかったことが開発のきっかけだったそうです。試行錯誤の連続で、どうしても再現できないあのパンの味。そういえば、あの時、雨が降っていたよね、、、。
そこで思い出すのはもう二十年近い昔。春のキャンプ解禁に家族で出かけた遥かなる南乗鞍キャンプ場。夕暮れ時にようやくたどり着いたのですがあいにくの雨。そぼ降る雨のなかでテントを設営しながら、子供達は半べそで、靴は濡れ、かじかむ足を焚き火で温め、そうして起こした七輪の、備長炭で焼いた「焼き鳥」のとんでもなく美味しかったことを思いだします。あの時の味を再現しようと備長炭にのめり込んだ時期がありましたが、とうとうあの思い出の味は再現できませんでした。あの時のそぼ降る雨。霧のように降りかかるスティームが、もしかして、、、。

さて、次回はついに、九十円に挑戦です。はたしてパン・オ・ヌフは閉店してしまうのでしょうか?その結果やいかに、乞うご期待。




posted by dady at 08:59| 神奈川 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月08日

酷暑の夏

げっそりするほどにやせ細るこの夏の暑さ、昨日はそれでも立秋だとか。

立秋や 秋の戸口の炎暑のかげろい
立秋の 空にコノヤローと汗をかき
盆も彼岸も立秋も 猛暑のまえに膝をつき

なんだか延々と愚痴が口をついて、ソーメン、冷や奴、盛りそばの夏もいずれは終わるのかしら?
そんな夏の真っ盛り、陛下が退位の意向をお示しになって、平成二十八年八月八日、末広がりのこの日を選ばれたのはまた何か理由でもあるのでしょうか?お年を考えるともうゆっくりなさっていただきたいとしみじみ思います。一方で、エリザベス女王は九十歳?
しかしそれにしても心配なのは、皇太子の次の次。男系天皇の皇統がこのままで持つのかとこれはこれで大いに心配ですが。
かと思えば海の向こうではリオ・オリンピックが開幕です。しかしなんだかテレヴィがないとこれがちっとも興奮しない。ましてや孤高の女王、イシンバエワが出ないとあっては興味は半減。(笑)あのシーツをひっかぶって寝転んで待つ女王の圧倒的な存在感。競技を始める前の出番待ちがこれほど映える役者は滅多にいません。
と思うとあのメジャーのイチロー選手が三千本。
暑い夏にドラマが目白押し。なのになのに、ニッポンの夏はトホホの夏。

お知らせです。来る日曜日。十四日の日曜日。パン・ド・ミを焼くのですが、何人かのお客様からご予約が入っています。自分ちの分を焼くつもりで前日から仕込むのですが、ご予約もよろこんでお受けいたします。ただし恐縮ですが、お引渡しが日曜日の十一時頃から十二時くらいまでの1時間で申し訳ないのですが、この時間に取りにきていただくことになります。ゴメンなさい。
金曜日までにご予約頂ければ日曜日にお渡しできます。
ご連絡はシェフまで。090-9971-1774。

さて、今夜は熱帯夜。今夜は眠れない。



posted by dady at 23:31| 神奈川 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月02日

夏期休業のお知らせです

パン・オ・ヌフは八月から長いながい夏休みに入らせていただきます。あんまり長くって気が遠くなりそうですが、八月、九月と、おおよそ二ヶ月の夏休みです。
親会社の仕事が立て込んでいるのと、人手不足、厨房の中は先週の日曜日でも最高35度という過酷な条件下では 何より人が持ちこたえられない、というのが本音。しかもパンの発酵をうまく管理できない。これはもう無念です。
日曜日もいつもバゲットを楽しみにしてくださっているO様がいつものようにバゲットを二本、「ああごめんなさい。今日のバゲットはクープがうまく入らず、裏が破裂してこんなバゲットです。それでは申し訳ないので気持ちだけですがお値引きさせていただきます。」こうお話ししてお持ち帰りいただきました。
いっそ売るのはやめようかとさえ思ったほどですが、それではあまりに私たちの身勝手です。

温度管理が完璧なホイロをそろえて営業体制を整えれば文句はないのかもしれません。しかし悲しいかな、私たちのヌフは19世紀のフランスの世紀末の場末のパン屋さんなのです。非近代的な、家内工房。10本の指で捏ね上げる。天然水をぬるま湯に温めてからミキサーで捏ね上げる、パンをこしらえるその一つ一つの工程がすでに前近代的なのです。
しかし、だからこそ実現できるゆたかなパンの世界があります。ただ、それも限界。昨今の地球温暖化は私たちの体力を想像以上に消耗させる。

しかししかし、また秋にかならずお会いしましょう。秋にはきっと、私たちのパンを待ってくれているみなさまにお目にかかりましょう。そのみなさまがたったひとりでも、私たちはそのお一人のためにパンを焼きます。

だって、パン・オ・ヌフは、なんてったって星の王子さまなんだから。ん?






posted by dady at 21:06| 神奈川 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする